年末特別企画 今年購入したSP盤TOP10

今年個人的な大きな出来事として、SP盤を購入するようになった、ということがあります。
SP盤とは一般的に知られているLPレコード(12インチ)が開発される以前の蓄音機用レコード(10インチ)のことです。回転数は78回転で、片面に1曲ずつしか入っておりません。
僕として非常に大きな出来事であったため、そんな僕が今年購入した32枚のSP盤からベスト10をあげていこうと思います。

10位 Whispering Jack Smith『She's A New Kind Of Old-Fashioned Girl/Lily Of Laguna』

第一次大戦中、毒ガス兵器で喉を痛めたため、独自のウィスパリング歌唱法をあみだしたジャック・スミス。その名の通り、囁くように歌います。
「She's A New Kind Of Old-Fashioned Girl」も素敵ですが、特に「Lily Of Laguna」はポップスとして非常に完成度が高いです。

9位 Kid Ory and His Creole Jazz Band『Tiger Rag/Creole Bo Bo』

キッド・オリーは戦前のトロンボーン奏者。1920年代から活動し、1933年には一度引退したそうですが、1944年からその時期とりわけ頂点を極めるニューオーリンズ・スタイルのバンドのを率いていており、その頃の作品です。
とにかくスタンダード・ナンバー「Tiger Rag」の演奏が素晴らしい!
ノアレコの一枚500円コーナーで発掘し、阿部さんに視聴させていただいたらその内容の良さに興奮した一枚。

8位 The Virginians『It's A Mllion To One You're In Love/Nothing Could Be Sweeter』

1920年代にキング・オブ・ジャズと言われガーシュウィンに楽曲製作を依頼し「ラプソティ・イン・ブルー」を世に出した人物でもあるポール・ホワイトマンの変名プロジェクトらしいです(ノアレコ阿部さん情報!)。
ノアレコで阿部さんにお勧めいただいた作品で、「It's A Mllion To〜」はバンジョーの使い方が楽しい陽気なナンバーです。聴いていると楽しくなる一枚。

7位 Margaret Whiting『Good Morning,Mr.Echo/River Road-Two Step』

1996年、細野晴臣さんがアンビエントに没頭していた頃に細野さんとコシミハルさんが組んだユニット「Swing Slow」で、カバーされた曲が「Good Morning,Mr.Echo」です。個人的にはその後の細野さんのポップス回帰の前兆だったのではないかと思います。
オリジナルを聴いたら、カバーがほぼ完全再現だったのでは、というようなユニークな音使いで驚きました。こういう効果音響を使うのは当時のポップスにしては珍しいのではないかと思います。エコーが少し怖いですが曲はとびきりに明るい、素晴らしい一曲です。「River Road-Two Step」は打って変わってアップテンポなジャズナンバー。

6位 Bix Beiderbecke 『Ol' Man River/Wa-Da-Da』 

ルイ・アームストロングに感銘を受け、ピアノとコルネットをほとんど独学でマスターし白人でもジャズが出来ることを証明したコルネット奏者、ビックス・バイダーベック
その素晴らしい演者による大好きな楽曲の演奏が悪くなるわけもなく、本当に最高な一枚となっております。アル中で身を崩し、若くして亡くなっているのも切ないです。

5位 Ambrose and His Orchestra『The Trolley Song/Some Other Time』

ノアレコにて、僕が生まれて初めて購入したSP盤のうちの一枚がこれでした。
英国のトップ・ジャズ・バンドであり先駆者であった、アンブローズ楽団。「Trolly Song」はその後ミュージカル映画若草の頃」でジュディ・ガーランドによりカバーされました。
アップテンポな「Trolly Song」はもちろん素晴らしいのですが、「Some Other Time」がまた素晴らしいメロディーを持った名曲なのです。
本人の動画はなかったため、ジュディ・ガーランドによる劇中カバーを。

4位 Bix Beiderbecke『Royal Garden Blues/Goose Pimples』

またまた登場、ビックス・バイダーベック
こちらもジャズのスタンダードである「Royal Garden Blues」のカバー。演奏はもちろん曲も素晴らしい。「Goose Pimples」は楽曲について調べても何も出てこないのですが、哀愁漂う冒頭からどんどん展開していくメロディーが面白い楽曲。
どちらも最高です。

3位 Les Paul and Mary Paul『My Baby's Coming Home/Lady Of Spain』

いわずと知れたギタリスト、レス・ポールとその3人目の奥さんであるメアリー・フォードのデュオ。
「My Baby's〜」は、ワルツのリズムにレス・ポールのギターとメアリーの朗々とした歌声が乗っかる多幸感にあふれるポップス。
「Lady Of Spain」はレスポールお得意の多重録音・早回しギターが聴けるインストナンバー。この2曲が1枚で聴けるなんて素晴らしくないですか?

2位 Hoagy Carmichael「Old Buttermilk Sky/Talking is A Woman」

「Stardust」や「Georgia on My Mind」など多数の名曲を生み出したホーギー・カーマイケル。僕にとっても本当に尊敬している作曲家なのですが、その中でも上位に入るほど好きな曲のSP盤!
本人もも俳優として出演している西部劇の映画「Canyon Passage/インディアン渓谷」のエンディング曲でした。楽曲も、本人による唄(声が本当に素晴らしい)も、全てが最高な一枚。
ノアレコにて、店主の阿部さんが「これ好きかと思って」とお勧めしてくれ、即買いした1枚。繰り返しますが本当に最高です。

1位 Raymond Scott Quintett「Happy Farmer/Egyptian Barn Dance」

カートゥーン・ミュージックから電子音楽まで手がけ、「モンド・ミュージック」の先駆者とも知られる天才、レイモンド・スコット。今年はマニュエラの岡田崇さんによる「レイモンド・スコット・ソングブック」も発売され何かと僕を興奮させてくれたレイスコですが、そのSP盤を手に入れました!
しかも、2曲とも僕は未聴だったため、大興奮!
どちらの曲も、5人編成による素晴らしい演奏で、異国情緒間あふれるフレーズ満載の最高な楽曲!今年買ったレコードで一番値の張った一枚ではありますが、文句のつけようのない、素晴らしいSP盤です!

以上、表現力不足による拙い文章を長々と失礼いたしました。
来年も素敵で豊かなSP盤ライフを送れればなあと思っております。
最後に、SP盤との出会いをくれたノアルイズ・レコード阿部さんに最大の感謝を。
それでは皆さん良いお年を!

ポニーのヒサミツ