「休日のレコード」セルフライナーノーツ

去年10月に出たアルバム、「休日のレコード」ですが、発売から1年以上経ち、だいぶ客観的に見れるようになった気がするので、少し解説を書いてみました。参照動画も交えつつ、長いですがしばしお付き合いください。

01.仔馬の歩み
アルバムの始まりを飾る、シンプルなインストです。個人的にはライ・クーダ―っぽいインストにしたかったのですが、仕上がりは不思議な感じに。ギターソロのみサボテン楽団に弾いてもらい、他は全て自分で演奏しております。ドラムを森は生きているの増村君が褒めてくれて嬉しかった。口笛が下手。

02.dog
20歳くらいのころ、ソロで宅録をやろうと思った時に最初に作った曲です。作り始めのイメージは、ソロで最初の曲、ということで細野晴臣さんの「ろっか・ばい・まい・べいびい」のイメージでした。当時飼っていた犬への愛情を余すことなく詰め込んだ一種のラブソングです。
ちなみに、The Ink Spotsという1920年代のグループがいるのですが、彼らの曲のほとんどはこの曲と同じコードパターンから始まります。作った当時はこのグループを知らなかったため、それから数年後に聞いた時は驚き、そして笑いました。
まあ珍しいコードパターンではなく、スタンダー等で良く使われている始まり方ではあります。
芦田君のドラムが色々と奇跡。

03.続きを聞かせて
The Bandや久保田麻琴と夕焼け楽団のような、アメリカ南部の香りのする曲にするつもりで作りました。
録音の時、ギターのサボテン楽団くんに「ロビー・ロバートソンっぽいフレーズを弾けばいいでしょ?」と言われ、分かってるなあと思った記憶が。

04.明日は休み
箸休め的なインストです。スリー・サンズ等がやっていた6,70年代の軽音楽を現代の宅録っぽくした感じでしょうか。
もとはエンジニア馬場ちゃんの誕生日にあげる着メロように作った曲。「明日は休み」って何の気なしにつけたら、「休日」って曲があることに気付いたので直前に配置。元は「cloudy wednesday」と配置が逆の予定でした。

05.休日
2011年の震災直後に作った曲です。ああいうことが起こって、こういう何もない休日がいかにありがたいものだったのか、と言うことを考えて書きました。曲も歌詞もできるのは早かった、けどシンプルに良い曲が書けたと思った覚えが。CDRとアルバム、さらに7インチで3バージョンある曲、つまりは自分でも気に入っているということでしょうね。
7インチでは芦田君にスチールギターを加えてもらい、歌も録り直しました。そこでこの曲がようやく完成した気持ちになりました。

06.my dog is barking
箸休めインストシリーズその2。Jim KweskinやEven Dozen Jug Bandのような、ジャグバンド風インストです。メロディーは少し「第三の男」風味?

07.ごめんね
70年代アメリカンフォークのようなイメージで作った曲です。
大人同士の歌なのか、子供同士の歌なのか、男女の歌なのか、そこは分からないようにしていますが、大人の男同士の曲だと思うと気持ち悪いのでお勧めしません。

08.白い家
アルバムの中では最後に録った曲。アルバムを見渡して、歌ものがもう一曲欲しかったのと、シンプルなカントリーっぽい曲が無かったので、CDR収録の曲を再録しました。歌ものでは唯一、全て自分で演奏しています。
昔住んでた家のことを歌っていて、「dog」とこの曲だけはノンフィクションです。

09.おめでたい日
箸休めインストシリーズその3。おめでたい歌です。
そもそもは「東京命日」という島田虎之介さんの映画をテーマに作った「anniversary」という曲で、もっと重めのゆったりとしたアレンジでした。収録にあたりこういうアレンジに作り直し、それに伴いタイトルも変更。

10.あのこのゆくえ
シンプルなポップスを作りたくて初期ビートルズというか、ポールマッカートニーを意識して作った曲。作ってしばらくして気付きましたが一部のメロディーはビートルズの「Honey Pie」っぽいです。
歌詞はストーカー気質があるけど害のない男の曲です。この曲もエレキをサボテン楽団くんに担当してもらい、それ以外は自分で演奏。7インチではサボテン楽団君にブルース・ハープを加えてもらい、更に初期ビートルズっぽさを目指しました。

11.cloudy wednesday
箸休めインストシリーズその4。これも「明日は休み」と同じコンセプトで作ったものです。題名は高野文子さんの短編(原作は冬野さほさん)から。

12.もぐら
今回収録した歌ものの中では「dog」の次に古い歌です。
ある意味カントリー路線の第1段の曲かもしれませんが、なんとも途上な曲だと今聴いて思います。でもこういう曲は今後はもう作れないかもなあとも思います。
収録の中ではもっともバンビ君のベースが遊んでいる。

13.ルイジアナ
アメリカ南部の音楽が大好きで、その影響を出すつもりで作った歌なのでこのタイトル。内容は関係がない。
当時Randy NewmanやLeon Redboneをたくさん聴いていたのでその影響がある(かも知れません)。
狂うクルーや俺はこんなもんじゃない等で活躍中の安藤暁彦君にサックスを担当してもらい、サボテン楽団のピアノと共に曲に良い味を加えてくれています。


14.Sweet and Lowdown
箸休めインストのラスト。実は「dog」と同じくらい古い曲です。
題名は「ギター弾きの恋」という映画の原題です。フェルメールの「ギターを弾く女」を眺めていたらメロディーが浮かんだのでこのタイトルになりました。華やかなパリみたいなイメージで作ったのですが、よく考えたらフェルメールはオランダ人でした。

15.Bon Voyage
アルバムのラストを飾る、明るく陽気なお別れの歌です。
もともとライブで最後にやるような曲がなかったので作成。タイトルからも分かると思いますが、もちろん、イメージは細野晴臣さんのトロピカル3部作です。
バンジョーやエフェクトをかけたギターで南国風味を出すことに苦労しました。

以上です。長々とお付き合いありがとうございました。